Design With FontForge

A book about how to create new typefaces using FontForge

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太字

太字(ボールド体)についての説明では、実際には、太さの度合い、すなわち「文字の太さ(ウェイト)」について説明をします。文字の太さ(weight)には、非常に細い「極細 hairline」文字から、桁外れに太い「極太 heavy」文字まであります。この太さの度合い(ウェイト)は、印刷テキストにおいてテキスト本文同士を明確に区分するために使用されます。また、グラフィック デザインでは、そのコントラストの差によって単語や短いテキストに注意を向けたり、テキストに特定の雰囲気を与えるために用いられます。

文字の太さを用いて様々な事柄を行ないたいと考えるかもしれませんが、文字の太さ調整で最初に経験するのは、標準文字の太さに付随する太字を作成することでしょう。

あなたは FontForge を使用しているので、明らかな利点があります。多くのフォント編集プログラムとは異なり、FontForge のスタイル・フィルターから得られる結果は、商用のタイプ・デザイン・ソフトウェアで得られる結果よりも、意外と使用に適しているかもしれません。これは、使われているアルゴリズムが並外れて洗練されているためです。

フォントの太字版を作成するには、「ウェイトを変更」というフィルター(メニュー項目「エレメント」 ⇒ 「スタイル」から選択します)を実行します。これによりグリフにウェイト(文字の太さ情報)が追加され、すばやく太字を近似できます。

この自動で比較的高速なプロセスは、どのくらいの太さが「太字」に相応しいかを試してみるのに打って付けです。このフィルターを何度か実行してみて、いくつかの候補作を保存し、それをテキスト文中で標準書体と並べて較べてみましょう。そうは言っても、フィルター実行後の結果をさらに修正したり、満足の行く結果を得るために個々のグリフを手作業で調整したりすることは、依然として必要になるでしょう。

また、筆線の割合が少ない単純なグリフ(たとえば 1、i、l、I、L、j および J)では他のグリフよりも太めに、筆線の割合が多い密なグリフ(たとえば a、e、g、x、B、R、8、および &)では他のグリフよりも細めにする必要があることは覚えておいてください。

フォントの補間

FontForge には二つのフォント間を補間する機能があります(エレメント メニューの「フォントの補間」機能を参照してください)。フォントの補間とは、二つの異なるウェイト(太さ)の文字からその中間のウェイトの文字を作成する技法です。したがって、太字の太さを決定する方法のひとつは、必要よりも太い太字を作成し、この太過ぎる太字デザインと標準文字の間にいくつかの異なる太さを補間作成することです。

この技法を用いれば、作成中のフォントに最も適した太さをより早く見つけることができます。この技法はまた、「極太体 heavy」や「超極太体 black」などのより太い字体や、「細字体 Book」や「超極細体 Thin」などのより細い字体の決定作業にも適用できるでしょう。フォントの補間は「負の数値」でも指定できます。たとえば、「標準体 regular」を「超極細体 thin」の「-50%」で補間すると、「太字体 bold」が得られます。

この仕組みによれば、標準体とその他の太さの文字を生成する最良にして最も効率的な方法は、超極細体と超極太体のフォントを作成し、そこからすべての必要な太さのフォントを生成することであるかのように見えるかもしれません。しかし、そのようなアプローチでは、あまりにも味気のない結果になりがちです。現実には、文字の太さを大きく変更するたびに、その他の太さを生成する元になる独自の基本設計がしばしば必要なのです。

参考文献